唯

BOYS/ボーイズの唯のレビュー・感想・評価

BOYS/ボーイズ(2014年製作の映画)
3.0
陸上部の男子高校生カップルで、放課後は川に飛び込んだりって、腐女子が好きそうな設定。筋肉が美しい。
何を着て行こうか、これでもないあれでもないと着替えるのは、男子もあるあるなのね。

シーヘルは、グレ気味の兄弟エディと違い、従順で模範的な優等生タイプ。
道から外れたことがなく生きて来られたんだろうな、という。
母を亡くして荒れている兄とそれに手を焼く父を前にして、自分だけは迷惑を掛けられないという気持ちが彼にストッパーを掛けさせる。

初めてのキスを真上から撮るアングルにはっとさせられた。表情でなく距離感で見せるとは。
上から撮ったり地面からのアングルもあったり、自在な視点で彼らをどこからでも見つめる。

戸惑いや反発もきっとあるだろうに、それをそこまで深掘りせず、あくまで何事もない日常を送りながら、しかし心はマークに向いている、多くを語らない演出が粋。
自分のことも相手のことも探り合いながら、徐々に距離を縮める二人。
彼らにとってはハードな合宿もじゃれ合いであるといったシチュエーションもエロエロ。

筋トレして自分の本心を抑え戸惑いを隠そうとするシーヘル。
直接的なことは何一つ言わせないけれど、表情や視線や距離や行動で想いが確かに存在することを提示する。
言葉では明言化出来ない微妙で曖昧なものが殆どなのだ(にしても静か)。

自己保身のために大切な人を傷付けてしまう。
でも、自分の気持ちに蓋をすることは自分自身をも傷付けている。
八方美人は誰かを傷付けるのだ。

憂いを湛えてぐっと大人びる。
思考は人を寡黙にさせる。

親に従順だったシーヘルが、食事の場から親の呼び止めも無視してバイクを走らせる。
自分の意思を貫こうと初めて動くわけで、親の手の届かない場所で世界を拡大して行く、これぞ大人への第一歩。

刹那性を感じさせるギター1本の音楽が続いていたが、2人が成就して初めて歌になる。煽るなあ。
唯