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イコライザー2のJIZEのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
4.1
元CIAの敏腕工作員ロバート・マッコールがロシアンマフィアを壊滅させた4年後を舞台に昼間はタクシー運転手としてボストンの街に溶け込み夜は冷静残虐に悪人を始末する彼に降り掛かる最大の試練を描いたシリーズ続編の第二弾‼︎まず前作『イコライザー(2014年)』より(映画ライターのギンティ小林さん命名)"ナメてた相手が実は殺人マシンでした"系譜のざまあな快感は数倍増し敵を駆逐する様もトコトン痛快さがあった。また悪が蔓延る描写もほぼ地続きで前回より日常の至るところに派生している。簡潔に云えば大変優秀な続編に感じた。また前回は主人公マッコールとクロエ・モレッツ演じる娼婦の少女との友好を縦軸に殺戮マシーンとしての本性を甦らせ復讐に転じる話だったのだが今回はある黒人の若者と擬似的な父息子の関係を築きながらも"ある若者に真の善良たる本質の道理を助言し師の立場から更生に導いていく"サブテーマが感動的なモーションの機微に乗せて機能していた。そして冒頭のトルコ鉄道を走る列車内でも白帽子を被りトルコ人に擬装したマッコールがいきなり敵に19秒ルールを発動させ台詞を云う「痛みには2種類ある…身体への痛みと改心の痛みだ」というくだりも逆鱗に触れたマッコールの暴走をもう誰も止められない病的な神経質の表情も相まりながらスムーズに前作の作品内ルールにおけるお約束を的確に畳みあげる。マッコールが夜の顔から昼の顔に切り替わる瞬間の二面性も至る場面で切り替わり見所に感じた。例えば女と子供を巻き込まない信念は彼の中では絶対で満面の笑みでその場を見逃しながらも言葉巧みに宣戦布告する様とかも前作より演出が研磨されていたように思えた。

→総評(悪を正す善イコライザーVS同業者の対峙)。
監督アントワーン・フークアの作家性とも称せる"正義を行使して制裁を受けるべき悪人に対して壊滅的な罰をあたえる"潔さが前回よりも徹底さを感じさせる。いわゆる理不尽や不条理が蔓延る腐敗した世の常でもそれを打ち砕く正義は絶対に存在するマッコール自身がその善良たるメタファーなのではと今回を経て更に思えました。また脚本でも前半が特に秀逸。例えば序盤,高層ホテルの悪人が集うある一室ににマッコールが突撃するくだりやタクシーに乗せた乗客の素振りを車内ミラーで確認し視線を配る洞察力の徹底ぶりなど本題とは無関係なサイドラインでもオムニバス的に話も散らした構成は前作の最初30分間と同様に比較的静かなトーンで物語は進展するがマッコールの日々の活躍がテンポ良く矢継ぎ早に堪能できる視野が広い構成だったのではないか。また終盤の台風が吹き荒れる退廃した広い街でも最強マッコールの殺戮劇場が開幕する本編白眉の魅せ場は劇場でぜひ体感してもらいたい。今回殺し描写の多様性もゴア描写抑え目だが相変わらずだいぶスカッとした。作品の苦言はマッコール自身の人格が変異した過去が今回でもあまり掘り下げられなかった点や敵版イコライザーが部下4人に頼りっきりで肝心の戦闘能力がほぼゼロに近いという状態。マッコールと敵首領の戦闘スペックが雲泥の差ほどありお遊戯会にしか見えなかった。。というよう前作よりクオリティは進化し前半のある衝撃的な事件をきっかけに急展開する謎解きに加えマッコールの視野が及ばない範囲から事態が異様が進んでいる様はサスペンス要素が孕み最高でした。主演デンゼル自身も俳優キャリア史上で続編初という事で前作の鑑賞なしでも正直お勧めできて次回のシリーズ第3弾の製作に期待がかかる安定感ある大変優秀な続編でした。
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