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イコライザー2のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

イコライザー2(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

前回に続き、マッコールさんの手際の良さ、無情ぶり、義理堅さが印象に残る。

仕事に大切なのは準備、というのはおそらく彼のオフィシャルな死後ルーズに過ごしてきたであろうチームの面々とマッコールさんとの佇まいの差を見れば明らか。

嵐の中で過去の部下4人と死闘を繰り広げる場面が格好良すぎた。塔の上のタイマンでマッコールさんの顔がなかなか映らず、死闘を演じているのがスタントマンだということは明らかだとしても、かつての親友であり部下でもあるデイヴを見下ろすマッコールさんの非情な顔だけでお釣りが来る。

しかしチームが堕落し請負殺人に手を染めるようになったのはマッコールさんの死が偽装され、局にとって余剰人材と見なされたからだということが明らかなのに、マイルズが薬物売買に手を出しかかったときと同様、「選択肢があるはずだ。自己責任だろ?」と言わんばかりの態度だったのはマッコールさんたら新自由主義者の可能性が微かにある。

デイヴの家族の目の前(声は聞こえない)で、「お前もお前もお前も、そしてお前も殺す」と言わんばかりに陽気に指差す場面では笑ってしまった。事態の緊迫感(殺人予告)と演じられている体裁(数年ぶりの仲良しチーム集合)のギャップで魅せるシーン。

前作に続き、今作でも絵画が重要な役割を担っている(グラフィティに上塗りされた壁画、マッコールさんの寝室にかけられた海の絵)。

この作品でマッコールさんが倒すのは、基本的に"White men"だ。序盤でインターンを集団レイプするのもヤッピーの"White men"。マイルズを黒人青年たちから成る薬の売人グループから奪還したあと叱咤激励するのだが、そのときでさえ仮想敵とされているのは"White men"(字幕では「人種差別主義者」と出ていたが)だ。そしてもちろんマッコールさんの敵に回ってしまった過去の部下たち4人も。「知力、体力において圧倒的に勝るデンゼル・ワシントンが白人男性を叩きのめす」のはいま、娯楽として需要があるのだろうか。

確かなのは、マッコールさんが悪人に見せる非情な顔だけでエンタメとして成立していることだ。
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