くわまんG

ターボキッドのくわまんGのレビュー・感想・評価

ターボキッド(2015年製作の映画)
4.5
『ガンダム』の悲しき幼子らが、『北斗の拳』の血塗られた世で、『T2』の自己犠牲に魂を救われて、それでも前に進む激熱ドラマ(ガチ)

みどころ:
アップル
爆笑ゴアシーン
爆熱青春カタルシス
爆走チャリチェイス
人間ウォーターサーバー
低予算?それがどうした

あらすじ:
1997年。終末戦争で地球は汚染、文明は崩壊、人類は水を奪い合うだけの生物に。
地下シェルターに一人暮らすキッドは、漫画のヒーロー“ターボレンジャー”に憧れるゴミ拾いの少年。その日も一帯を仕切るギャング“ゼウス”の魔手を掻い潜り、戦利品をゲット。
と、家の前に女の子が。やけに派手な服装、素っ頓狂な受け答え。最初は警戒していたキッドだったが、徐々に打ち解けて仲良くなったその頃、二人を監視する怪しい影が……!

小児用自転車でドヤるジャギを従え、簡易玉座でふんぞり返るマイケル・アイアンサイドが仕切るは、この世紀末を統べるハイエナのごときギャング集団「ゼウス」。

・ガソリン無いならペダルを漕げ
・飲み水無いなら骨肉を搾れ
・予算無いならヤル気で凌げ
これがこの世の処方箋。世も末 of the 末。

そんな肥溜めに咲くヒロイン、アップルに心うたれる。頭の弱い電波系に見えてさにあらず。その正体は、堕ち続ける人間を記録し続けてきた悲しき電脳。そのスペックは、無垢と母性のハイブリッド。この世の汚濁を全て濾過して、清き一滴で俺達を癒やしてくれるアップルはまさに聖母。

主人公キッドの成長も泣かせる。歳の差を超えた友情を結び、命の違いを超えた愛を育み、再びチャリに跨がったキッドの後ろ姿は、まさにヒーローのそれ。先に何が待ち受けようとも、やってられなくても死ぬほど辛くても、諦めなければ必ず希望が訪れると、俺達の背中を押してくれる。

バカ過ぎるグロゴアでケタケタ笑わせてくれながらも、アツアツの人間交差点で勇気を与えてくれる、素晴らしいヒーロー映画。「誰もが(心の態度次第で)ヒーローになれる」とはこういうことだと思う。