肉鹿

ハッピーアワーの肉鹿のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.2
神戸。30代後半の4人の女性。ほとんど30歳を越えてから友達になった間柄だけど、それぞれの生活の隙間を縫って温泉旅行にだって行く仲。だけど、みんな嘘をつきたくないから隠している気持ちを全て言ったりなんかしなくて———「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督作品。

上映時間が5時間を超えるていう見る前にかなり身構えちゃう映画。
それに主人公の4人含めて登場人物たちは演技未経験の人たちが占めてるから決して流暢ではなく、平坦なセリフ運びの日常シーンと比較して離婚裁判のシーンや本音の言葉で殴り合うなんていう非日常の部分だけは感情が乗ってるのがいかにもって感じですごく初々しい。

でも気になる部分なんてそれぐらいで、5時間があっという間だった。
ここまで長時間になった一因の、重心ワークショップや朗読会の長回しも省かないことによって弛緩する空気や変な空気になったりするのを存分に味わえてその場にいるような錯覚生んでたし、作品の根幹を語ってる部分もあるから短くしたらダメだってわかる。

それにやっぱり登場人物たちそれぞれの心理描写が抜群に上手くて、あっという間に引き込まれてた。
特に複雑に入り組んでる女性に対してシンプルな思考してる男性ほど彼女たちの救いになってたのが上手👏
主人公たちと接する男性は何人もいたけど、結局「いっしょに抜けちゃいますか?」と臆面もなく伝えれる男性の方が支えになってしまうのは切ないけどとても現実的でよかった。

5時間以上の時間を費やしても主人公たちのことをすべて理解できたなんてちっとも思えないのが逆に愛おしくて、また会いたくなって見てしまいそう。それぐらい生身の人間と接したような気分になる映画でした。
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