こうん

ハッピーアワーのこうんのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.8
この映画を観られて幸せだった。
主題的な意味での物語の深みと射程の広さ大きさ、それももちろん素晴らしかったのですが、全編に漲る映画的意志というか、ショットの強靭さ。
思い出すだに奮えてしまう。
濱口監督、過去作を観たことないのでどういう作風だったり映画的嗜好の方なのかわからない。
少なくともこの映画は、とんでもなく映画として充実していると思う。
大袈裟かもしれないけど、観ていて僕はエドワード・ヤンを想起した。濱口監督のキャメラ・アイは、”時間”を捉えきっていると思った。描かれる物語は卑近なドラマなのだけど、大きな時間の流れを感じるのだ。
上手く表現できないけど、大陸的な大きさというか。

もちろん、主演の女性の4人も素晴らしかった。特に目の表現力。目のドラマといってもいいくらいだ。職業俳優にはない、生の強さだった。
(対して純の旦那のまばたきの少なさが不気味だ!)

人と人が、僕とあなたがわかりあうこと。わかりあえないこと。そこから生じる衝突、葛藤、孤独。そんな負の側面を抱えながらも生きていかねばならないし、それでも目の前の親しい人を、愚直なまでにわかりたいと思う。どんなに困難でも“わかりたい”という人間の根源的な希求が、儚くとも確かにある希望なのだ。
……そういう厳しく優しい眼差しに溢れた映画になっていると思います。

とにもかくにも、これほど映画的に充実した映画はないと思う。濱口監督以下スタッフキャストのみなさんの仕事に快哉をあげたいと思う。

年末にもう1回観ようと思っていますのでよろしくです。