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ハッピーアワーのshitpieのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
5.0
普通の会話を愛しているーーそう歌ったバンドがいる。濱口竜介監督、そしてこの映画の脚本を書いた濱口を含む 3 人の脚本家たちは、そのように思っているのだろう(追記 2 。この映画の脚本がそんな生やさしいものではないことを、濱口の『カメラの前で演じること』を読んで知り、深く反省した。『ハッピーアワーの』の中心を占めているのは「聞く」こと、インタヴュー、そして身体だ)。だが『ハッピーアワー』はそんな素朴なものではない。そう、これは安っぽいリアリストが撮った映画ではけしてないのだ。「普通の会話」がまるで雪のように降り積もっていくこのフィルムには、ささやかな希望と圧倒的な絶望がごく自然に、優しく、不気味に、冷酷に共存している。

10 年代日本映画のメルクマールである『サウダーヂ』と『親密さ』。このおそろしい傑作はそれらに肩を並べた。あるいはそれらを超えてしまった。映画体験として、あまりにも、あまりにも濃密な 5 時間 17 分。今はそれだけしか言えない。

追記。ジョン・カサヴェテスのファンである竹内正太郎さん。この映画を必ず観なきゃいけないのは誰よりも竹内さんですよ! この映画の脚本のワーキングタイトルは『 BRIDES 』で、『ハズバンズ』を意識して書かれたものなのですから。