NAO141

悪のクロニクルのNAO141のレビュー・感想・評価

悪のクロニクル(2015年製作の映画)
4.5
〈偶発的な本能:人は追い詰められると思わぬ行動を取る。状況によっては限りなく残酷にもなれる。〉

この作品はかなり面白い。見事なまでのミスリードと大どんでん返し。それぞれの人物の心理描写もとても良く、韓国はこういった作品を製作するのが非常に上手いと感じる。本作は韓国では2015年公開だが、同日に公開された『マッドマックス:怒りのデス・ロード』を抑えて初登場1位に輝き、それまで1位を守ってきた『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』も超えて興行成績1位に浮上。観客動員200万人を超える大ヒットを記録して、この年の韓国映画を代表する作品となっている。

『悪のクロニクル』、タイトルの〈クロニクル〉とは〈年代記〉を意味するわけだが、そのタイトル通り本作では長く続く韓国警察の体質というものが描かれており、本来〈正義〉という要の部分にあるべき警察の中に蔓延る〈歪んだ正義〉、その歪みが悪を生み、それがまた連鎖反応を起こし続けて行くという恐ろしさが描かれている。

誰が本当の悪なのか、誰が道を踏み外したのか、巧みな心理描写と意外な真犯人、そして真犯人が描いた真のシナリオ、かなり面白い作品なのでクライムサスペンスが好きな方は1度は観てほしい!

チェ課長とドンジェの関係性、オ刑事とドンジェの関係性も見所。とくに物語ラスト、チェ課長とドンジェが見せる表情の対比、これが我々観ている側の心に深い余韻を残すエピローグがとても良い。

※個人的にオ刑事を演じるマ・ドンソクがお気に入り。頼れる兄貴といった感じの存在感がとても良い。彼は『新感染 ファイナル・エクスプレス』という作品でも非常に頼れる兄貴(旦那)ぶりだった。こういった役がピッタリな方だな。
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