フラワーメイノラカ

パッセンジャーのフラワーメイノラカのレビュー・感想・評価

パッセンジャー(2016年製作の映画)
3.8
人の一生を凌駕するほどの時間をかけた宇宙移住。
ある種の生まれ変わりを決意したコールドスリープから目覚めた男と女。
個人のささやかな幸福と、途方もないちっぽけな絶望を甘んじて受け入れていく2人。
作家である彼女が書き残したダイアローグは、移住者たちを導く新たな「生命の木」となり得るのかもしれない。

すごく心地良い映画だなと思ったら、『イミテーション・ゲーム』(2014)のモルテン・ティルドゥム監督!
観客の琴線を絶妙に擽る人生哲学を巧みに盛り込んだ上で、良質なエンターテイメント作品へと昇華する手腕はさすが。

オーロラが作家という役割なこともあり、語りの構造が実にスマート。
本作は科学的なシミュレーションというよりも、プリミティブな神話として観た方が面白いかも。
清々しい夜明けのようなラストに報われた気持ちになる。