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パッセンジャーのしののレビュー・感想・評価

パッセンジャー(2016年製作の映画)
3.5
宇宙船に閉じ込められた男女が絶望の先に自らの人生を切り拓く。本質は「もし無人島に置き去りにされたら?」というよくある思考実験のSF的延長。シンプルさは美徳だが壮大な状況設定のわりに全体的に薄味で、小さくまとまりすぎてる感も否めないが、共感はしやすい。

本作はSFやロマンスというよりは、シンプルに「宇宙船で死ぬまで一人きりになるとしたらどうするか」という思考実験的な映画として観るべきだ。その状況設定として宇宙空間が、副産物としてロマンスがあるというだけの話だろう。

また、シンプルを突き通す本作の姿勢は嫌いじゃない。状況設定のシンプルさ、ストーリー展開のシンプルさ、宇宙描写や船内デザインのシンプルさ、そして結末のシンプルさ…。ただ、やっぱりどこかでグッと攻めるパートがあっても良かった。特に終盤はちょっとスムーズに行き過ぎたところはあるし、割と倫理的問題・哲学的問題の根幹に触れる内容を扱っているだけに、その突き詰めが甘いのは非常に物足りなく感じるところだろう。

本作を観て「運命とは何か」「人生に必要なものはなにか」「愛とは詰まる所エゴなのか」なんてことを考え始めると眠れなくなること請け合いだ。というかほぼそういう楽しみ方しかできない気もするが…。

(詳しい感想: http://www.shino-hobby.com/posts/2208043)
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