マルメラ

パッセンジャーのマルメラのレビュー・感想・評価

パッセンジャー(2016年製作の映画)
3.6

【人は孤独には勝てない】
NARUTOの我愛羅の台詞です。「人は孤独には勝てない」。
主人公が取る行動を許せるかどうかが、この映画の好き嫌いを分ける部分の1つになっている。
自分は肯定的な意見です。

倫理的に問題があるという意見も分かります。
しかし、あの状況はある意味で無法地帯。
法に縛られなくなったときの、人間の行動として至極真っ当だと自分は思います。

そして、そういう倫理的にどうなの?と言われるのを覚悟で、人間の本質を描いたことに拍手を送りたいです。

【オフビートの笑いが詰め込まれている】
どこか、クスッとしてしまうような笑いが詰まっていた。

これは凄く難しいことで、漫才のボケとツッコミのように分かりやすいものではない。

露骨に笑いを取りにくる映画も好物だが、ゆったりとした笑いも良い。

オフビートの笑いを作り出す方が難しいように自分は思う。
露骨に笑いを取りにいくのであれば、役者の演技もそっちに寄せれば良いし、演出や台詞も露骨に強調したりできる。

しかし、オフビートの笑いはそうはいかない。
あくまでも普通の一コマがクスッとしなければならないからだ。

【後半が急展開すぎたのが残念】
中盤までは良かったのだが、船が故障し始めてからは、あまり乗れなかった。

「やっぱり見せ場をそこで作るの?」という既視感に溢れたラストの展開。

他にどうすれば良い?と言われれば答えは出てこないが、あのラストの展開のせいでこの映画の独自性が失われたように思う。

数十年語り継がれる傑作というよりは、2017年に公開された1つの映画という枠に収まった印象。

しかし、ジェニファー・ローレンスとクリス・プラットのこれからの活躍によっては、後年も語り継がれる作品になるかもしれない。

特にジェニファー・ローレンスの真実を知った時の表情は素晴らしい。
惹きつけられる演技とは、まさにこの事。
一気に絶望へと落ちていく様を、顔の表情だけで表現していた。

【まとめ】
・決してつまらなくはない。しかし何度も見返すかと言われれば違う気がする。

・ジェニファー・ローレンスの演技は何度も見返したいくらい凄かった。

・お前、また艦長やってんのかよ!とツッコミたくなるローレンス・フィッシュバーンの配役。

・「私たちの間に秘密はない」という言葉の怖さ。緊張感の作り出し方が見事。
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