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ちはやふる 下の句のplantseedsのレビュー・感想・評価

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)
5.0
『かるたが一番楽しかった時』

再レビュー。
本当に、うるさいんですが、大好きなシリーズです(笑)
原作から知っていたので、アンチになって劇場は完全スルーしていました。
それが、見てみたら、後悔の連続…

下の句は、個人的には、新の物語だと思っています。
憧れのかるた永世名人である祖父をなくし、かるたを続ける理由を見失ってしまう。
自分が悩んでいた時期に観たので、余計に感情移入してしまいました。
つらい時期に見る映画は、なんでこんなに染みるのでしょうか。

心の中に穴が開いてしまったような感覚。
すごく、分かるというか、個人的に共感しまくりというか。

以下ほとんど、ネタバレになります、※読みたくない人は読まないで!





國村さん演じる、原田先生の一言
「君にとって綿谷先生が大切な存在だったのは分かる。
でも、かるたをやる理由は一つじゃなくてもいいだろ」

ぐっと胸をつかまれたセリフ。
かるたをやる意味や理由は、ずっと一緒じゃなくてもいい。
気持ちに変化があるのは、当たり前。
続けてみることが大切で、その中にある「思い」は、変化していっていい。
むしろ、経験重ねるからこそ、変化していくもの。
っていうか、意味とかそういのとかって、正直いらなのではないか。

楽しそうにかるたをとる、千早の姿を見て新は、思いなおし始める。
千早をみていると、意味とか、そういうものから、対極にいる印象。

「かるたが一番楽しかったのは、いつやった?、新」(綿谷名人)
純粋に自分がやっていることを楽しむ気持ち。
一生懸命ものごとを追いかけていて、ふと立ち止まってみると、
楽しかったはずの、やりたいことが、いつの間にか楽しくなくなっている。行き詰まりを感じる。
あるあるですが、自分はちょうどその時期だったので、余計にこのセリフが染みました。

楽しさだけで、乗り切れるほど、甘くはないけれども。
でも、自分自身が楽しんでいないと、うまれてくるものは、人の心に響いてくる血の通ったものにはならないと思います。
そのプラスの気の流れで物事に取り組んでいないと、やっぱりうまくいくはずのことも、うまくいかないよなあと思います。
楽しむってことは、そういう要らない煩悩から、対極にあると思います。

「初心忘れるべからず」ということは、
自分は、夢中で、楽しくものごとを追いかけていた気持ちを忘れないで、やることだと思います。

本当に、大袈裟ですが、この映画には救われている自分がいる気がします。
思い出に残る映画体験でした。
自分も、この物語に救われたように、誰かにとって、何か活力になるような。
そんなものをつくっていけたら、最高のものを届けられたら。
まだ、全然机上の空論ですが、小さな夢ができました。

やっぱり、映画は素晴らしい。
僕は、映画は、芸術は、人を救う力があるって本気で信じています。
長いレビュー、読んでくれてありがとうございます!
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