みゆ

ちはやふる 下の句のみゆのレビュー・感想・評価

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)
3.8
2018.03.19(40)
録画


前作より面白く感じられた。やはり試合になると無駄に思ってしまうような演出が少なくなり、ギュッと密度が高くなるので、それで面白く感じるのかなと思った。

ただどうしても千早が魅力的に見えない。映画は原作と同じである必要はないのだが、それにしてもこれでは単なるワガママちゃんだし、自分のことばかり考えているように見えてしまう。原作の千早にも確かにそういう部分はあるが、原作はもっともっと長いので、そうではない千早の方がたっぷり描かれている。千早はひたむきで、でも自分の足りないところやダメなところときちんと向き合えるし、何よりみんなでかるたに取り組むことを愛している。だからこそみんな千早のもとに集まるのだし、応援したくもなるのだ。だが実写版の千早は、私から見ると自分勝手で一方的に自分の価値観を他者に押し付ける部分が多く目についてしまって、周りに甘えているだけの子にしか見えなかった。反論ある方もいらっしゃると思うけれど、率直な感想なのでお許しください。

不思議なもので、千早以外のキャラクターはとても魅力的に描かれていて感心するほどだ。太一はもちろん、肉まんくん、かなちゃん、机くん、須藤さん、ちょっとしか出てこないヒョロくんも短い時間の中で実に豊かにそのキャラクターの髄を演じている。中でも秀逸なのが詩暢ちゃんだ。もう原作の若宮詩暢その人にしか見えなかった。そういった周りを固めるキャラがとても良かったので、作品全体を楽しむことが出来たのだと思う。

前作と今作に共通する惜しいなと感じる点は、競技かるたのルール説明が丁寧ではないこと。前作と今作を一緒に見ていた夫(原作を全く知らない)からルールについていくつか質問を受けた。原田先生を語り部にして、せめて映画の中に出てくる部分については、ルールを分かりやすく説明しても良かったんじゃないかなと思う。

ラストが良かったので、正直今作で終わりで良いんじゃないかと思ったけれど、最新作はもっともっと良いらしいので、明日のレイトショーは期待して見てきます。
みゆ

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