ハリィしろかわ

スパイダーマン:ホームカミングのハリィしろかわのレビュー・感想・評価

4.8
青春映画としても傑作!「スパイダーマン・ホームカミング」

今回、スパイダーマン=ピーター役を若いトム・ホランドが演じたことにより、今まで以上に思春期独特の躍動感がスパイダーマンのウェブアクションとマッチしており、過去のスパイダーマン作品以上に観ているこちらも楽しく感じられました。

ピーターがヒーロー活動と学園生活でいろいろな困難や試練に対峙しながらも、持ち前の明るさと責任感で乗り越えていくあたりは、まるで息子の成長を見ているようで、ジーンときてしまいます。

今回、ベン叔父さんや実の父親の存在は出てきませんでしたが、ピーターにとっての「父親代わり」が2人登場します。
1人目はアイアンマンことトニー・スターク。
早くアベンジャーズの一員として活躍したいピーターの焦りが、中盤に思わぬ大事故を引き起こしてしまう。そこで救出に来たアイアンマンに、ピーターはコテンパンに叱られます。
トニーのセリフ「無責任な行動をとる弱い者に、スパイダースーツを着る資格はない」はまさにおなじみの「大いなる力には大いなる責任が伴う」を示唆している、本作で一番印象的なシーンだと思います。
また、今までは自由気ままな印象が強かったトニーが、ピーターと会ったことで少しずつ自分の中の父性に目覚めていくあたりも興味深かったです。

そして、もう一人の父親代わりは、今回の敵であるヴァルチャーだと思います。
最初はピーターが興味本位で追いかけるただの犯罪者のボス的存在でしたが、後半、「ある事実」が発覚してからは、スパイダーマンとしても、男ピーターとしても、超えなくてはならない大きな壁として、グンと存在感を増すのです。まるで、男子の成長に欠かせない「父親殺し」を示唆するように。男なら、ヒーローなら、このオヤジを超えなくては!
このあたりのヴァルチャー=マイケル・キートンのジワジワとくる脅迫のシーン、観ているこちらもハラハラしましたわ!さすがキートン、演技派かつ元バットマン!

あとは、ホームカミングの学園イベントや学力テスト等の青春満載感は観てるだけでこちらも楽しくなります。久々に青春映画を満喫したわ、と実感。

一方、セリフの端々にアベンジャーズシリーズのおさらいが出来て、今後のアベンジャーズシリーズにも期待が出来る演出になっています。
とにかく、青春映画としても傑作のスパイダーマン新シリーズでありました。
ハリィしろかわ

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