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スパイダーマン:ホームカミングのTSのレビュー・感想・評価

4.0
【若気の至り】85点
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監督:ジョン・ワッツ
製作国:アメリカ
ジャンル:アクション
収録時間:133分
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2017年劇場鑑賞59本目。
MCUシリーズ16作目。勢いが止まらないこのシリーズですが、ついにあのスパイダーマンがMCUシリーズの仲間入りに。とは言ってもトム・ホランド版のスパイダーマンはすでにシビルウォーで登場していますが、単作としての登場は今回が初めて。予算も蓄積されているだろうとのことでどんどん迫力が増してると感じるのは自分だけでしょうか。無論、申し分ない面白さでしたし、他のマーベルシリーズのヒーローにはない要素も見受けられました。前回のガーディアンが個人的には不発でしたので(世間の評価はかなり高いですよ)安心しました。

時系列的にはシビルウォーの直後と言ったところでしょうか。最初はピーターの撮影する映像が映されます。シビルウォーの一部分も出てきます。アベンジャーズに憧れる彼は、スパイダーマンというヒーローとしてアベンジャーズの仲間入りになることを目標としています。この、無理やりにMCUの世界にスパイダーマンを持っていく設定は、往年のスパイダーマンファンからすると賛否両論と思われます。僕は特にファンでもないですからあまり気にならずに楽しめましたが、そのあたりが気になる方は最後まで納得がいかないかもしれません。その最大の要因として、終盤までアイアンマンことトニー・スタークが絡んでくることが挙げられます。結局はトニー・スタークがピーターを立てるといった構造であるため、スパイダーマンそのもののカッコよさとか威厳などはあまり感じられません。それよりも無邪気で後先を考えずに勧善懲悪を掲げる新米ヒーローといった印象を抱くでしょう。また、トニー・スタークが絡んでくるため、スパイダーマンのスーツがヤケにハイテクです。結局はアイアンマンの二番煎じ感が拭えないため往年のファンからすると意見が分かれるところだと思います。後者は蛇足としても、前者は大きな要因でしょう。

しかし、このポジションが個人的には良かったです。というのも、これまでのMCUに登場するヒーローは「大人」でした。ハルクにしろアイアンマンにしろキャプテン・アメリカにしろ、みなある程度の経験や思想が熟成された存在であります。しかし、今作のピーターはせいぜい15歳。悪を懲らしめて市民を守る!という絶対的な目標を掲げるも、後先を考えれないために取り返しのつかないことを多々起こしてしまいます。まさに若気の至り。トニー・スタークの「大人の目線」とピーターの「青年の目線」が非常に対照的であり、間違いなくそれらを意識して今作は作られていると思います。

考えるより先に動く。動く前に考える。どちらが良いとは一概には言えませんが今作はそのあたりの解答のヒントを与えてくれています。身体、考え方ともにまだまだ未完成なヒーロー。そのヒーローが数々の事件を通して少しでも成長していく様が良いです。そして、彼が成長した時、彼ならアベンジャーズの一員になっても何ら遜色ないと我々は感じ取ることが出来るのです。その結末は言わないとして、今作はそのあたりの「青年の目線」を意識したヒーロー映画であると思います。

アクションシーンもなかなか。エレベーターや船のシーンも迫力がありますし、終盤のヴィランとの乱闘も中々のもの。もっとも、スパイダーマンのアクションシーン自体はそれほど大それたものではないのでハルクやソー、ドクターストレンジなどには勝らないですが。。程よくコメディ部分もあり総じて良い作品です。MCUシリーズの中でも上位の部類に入ると思いました。
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