チーズマン

スパイダーマン:ホームカミングのチーズマンのレビュー・感想・評価

3.9
またかよー、なんて思ってごめんねスパイダーマン!
面白かったです。

多分今までのスパイダーマンと1番違うのは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の中のスパイダーマンということですね。
そういう意味ではその設定を割と遠慮なく活かして、今作ならではのスパイダーマン映画にしっかりなってたと思います。


トム・ホランド演じるピーターが、周りの人達や自分が暮らす街との関わりの中で、ちょっぴり苦くも成長して街のヒーローとなる、劇中のセリフでいうところの“地に足の着いた”スパイダーマンだったと思います。

それゆえに見所となる派手なシーンはありつつも、これまでのスパイダーマン映画のようなアトラクション的なアクションは控えめでした。
だから今回のスパイダーマンは思春期の主人公の成長というメインテーマがより際立って見えました。

映画初っ端のショットから主人公のスマホでのPOVで茶目っ気のある楽しい映像と同時に、自分主観でしか世の中を見れてない視野の狭さが強調されていて、そして成長した後のラストはどういうショットで終わるのかというところまで面白く観れました。
その辺はこの前の『パワー・レンジャー』も割と似たような演出でしたね、ヒーローと学園モノっぽいのもそうだし。


主人公、まだ未熟な普通の少年としてトム・ホランドの“小僧”っぽさがすごいマッチしてました。
親や友達に支えられ、師匠に導かれ、そして敵であるヴァルチャーからも自分が見えてない世の中があることを学び、健全に成長していく。
個人的にはこれまでのスパイダーマンの中では1番大きく親友という存在が描かれていたのが良かったです。時期によっては親よりもよっぽど自分を理解てくれる存在だったりしますからね。
存在感としては労働者層から生まれた敵であるヴァルチャーを演じたマイケル・キートン、演技もだけどあの顔のシワもいかにも苦労してきたという感じが印象的で作品にちょっと深みが出て良かったです。

アクションの方は、というかあの万能スーツと言った方がいいのかな、トニー・スタークと師弟関係ということを強調するにせよ全体的に戦闘の方向性がちょっとアイアンマン的すぎないか〜と思ってしまいますね。
なにあの日本家電かと思うぐらい使いこなすのが困難な多機能っぷり。笑
しかし終盤での、いよいよ更にアイアンマン化が加速しそうな新型のスーツ(凄いカッコいいんだけどね)が出てくるくだりで、“アイアンマン”ではなく“スパイダーマン”であることを自ら選択するような場面がちゃんとあったので一応納得はしました。
ちょっとその前振りを超えてしまいかねないバランスな気もしますが。

ハッピーが久々に見れたのは嬉しかったなあ、まあ役割としては正直ぼやけていて必要とは言えなかったけど、そこは敢えて登場させたかったんでしょうね。


いきなり単体で観ても多分普通に楽しいとは思うけど、やっぱアベンジャーズの文脈で観てこそ面白い部類の作品であることは言えると思います。今更MCUシリーズを観たことない人は少ないだろうということが前提で作られてるし、作られていくんだろうと思いますが。

自分はシリーズはバッチリ観ているのでもちろん面白かったです。

IMAXの最初のカウントダウンがスパイダーマン仕様!なんか得した気分でした。


追記:2022.1.15日
ノーウェイホームのために観返しました。
自分の力でヒーローになるという成長と同時に失恋という犠牲、苦さ、ジョン・ワッツ監督らしい青春映画としてのエッセンスがあって良かったですね。
あとやはりヴァルチャー、このマイケル・キートン演じるヴィランのアップの顔のシワの深みが人生そのもの、存在感あって良いですよねえ。

それと、音楽が割と王道的クラシカルな作りなのも、作品を土台を支える良い仕事をしていたと思います。
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