ユンファ

スパイダーマン:ホームカミングのユンファのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

スパイダーマンの魅力は、僕ら観客と同じダサダサのモテない普通の奴だということだ。
路地裏に駆け込み、そそくさと服を脱いでパン一状態からスパイダーマンのスーツへと着替える場面に、凡人感が滲み出る。
ピーターはトニー・スタークに憧れる。
地球の危機を何度も救ったヒーロー、トニーに。
ピーターは力を正しく使おうとする。
けれどその力の大部分はトニーから与えられたものであり、ピーターは力に頼ってしまう。

人は飛べない。
トニーが自らの努力で飛ぶ力を得、正しい力の使い道を悟ったように、ピーターもいかに飛ぶか、何のために飛ぶかを学ぶ。
それが力を得たものの義務であり、責任なのだ。
ヴィランとなるヴァルチャーもまた、自らの努力で飛ぶ力を得た。ヴァルチャーが飛ぶのは家族のためであり、犯罪行為にすら一切の迷いがない。だから、どこまでもどこまでも飛んで行く。
そんなヴァルチャーをピーターは地上へと引きずり下ろす。
普通の人が到底行きつけない空の彼方へと飛んで行く彼らは、それでも地上に住まう普通の人間であり続ける。
ペッパーには弱いトニー、学校ではうだつの上がらないピーター、家族を想い罪を償うトゥームス、誰もがどこにでもいる普通の人々であり、そんな彼らがほんの一瞬飛翔する(ヒーローになる)からこそ感動的なのだ。
どんなにさえない奴でも飛翔する瞬間がある。
「エロ動画を見てた」
そんなバカみたいなウソをつくだけでいい。
親愛なる隣人たちは、僕らの飛翔する瞬間を今日もどこかで見守っている。
ユンファ

ユンファ