タコさんウィンナー

スパイダーマン:ホームカミングのタコさんウィンナーのレビュー・感想・評価

4.1
あのスパイダーマンがマーベルシネマティックユニバースにあわせて3度目のリブート!あらゆる意味で今までとは別切り口になっていて、もう「ピーターがスパイダーマンになるまで」は見飽きたよ!という方も安心の作品でした!(笑)
逆にスパイダーマンの前提条件を全く知らず、アイアンマンもアベンジャーズもカケラもわからん!という状況の方はいきなり見るのはちょっと厳しいかもしれないです…。

物語はスパイダーマンがいかにして「シビルウォー」にてあの場に参戦したか、というところからはじまります。P.O.V(主観映像)でSNSに投稿された映像風にあの時の裏話が語られる。そこだけで、浮かれるピーターのキャラクターから、ティーンエイジャーであることを表現するのは今っぽくてよかったです。「クロニクル」を見た時も思いましたが、P.O.Vはティーンを表現するのにすごく向いてると思います。

常に携帯で投稿をしているというティーン表現が、スタークに実力を認めてもらうためにアピールしているというドラマの動きにつながる構成も秀逸でした。

また、本編でもよりスクールライフや青春ものを強調するため、今までと少し違うアプローチをとっていました。

まず今回一番の良いキャラ、ネッド。今までのスパイダーマンではピーターとは対照的な人気者・ハリーが親友として出てきていました。ハリーはピーターの憧れのような存在であるからこそ必要なキャラクターでした。優等生でみんなからも人気者。ピーター…本当に他に友達いないの?(笑)
それはみんな無意識に思ったことのある疑問だったと思います。
その点ネッドってばいいやつ。ギーク感がかわいい。ピーターより圧倒的なギークでお調子者。やはりギーク感を出す演出としては「イケてる友達と幼馴染」より「一緒にデススターのレゴ作ろうぜ!」の方が熱いです(笑)

しかもピーターがスタークから与えられた力を失った時、AIカレンの代わりをするのがイスの男なのも熱い…!

彼は常にピーターの横にいる観客として、映画を見にきた人の感情移入先になってくれたのではないのでしょうか。

「大いなる力には…」のセリフを使わずにスパイダーマンのはじまりを描き切ったメインストーリーも見事でした。学校の仲間たちを色濃く出して、学校の中で「特別な秘密を持つ自分」を鮮やかに表現し、一方で憧れの大人に早く認められて特別な存在になりたいと努力するその姿はまさに青春映画!その上で、今までのスパイダーマンシリーズより明るい印象なのもよかったです。

続いて最高だったのがスパイダーマン表現。
今までのシリーズでは摩天楼を駆け抜ける爽快感を気持ちいいウェブスウィングアクションを使って味わうのがスパイディ映画の醍醐味でした。
今回はそこを逆手にとって、スパイディが糸で素早く移動できないという状況を意図的に作り出していました…!
高いものがない場所で必死に倒れながら走るスパイディ。そこに、まだスパイダーマンとして本当の意味で正しく力を使うことができないピーターの心情が表現されているよう気がして、とても巧いなあと思いました!

もうひとつよかったスパイディ表現は、スーツの機能。あらゆる機能を使ったギャグがとても笑えました。でも1番よかったのは目の表現。スパイディってアニメとかだと目が表情を表すように動くんですが、今回は高機能スーツに搭載されたピント調節機能として目が動くようになっている。実写でのリアリティと仕組みの裏付けをキープしたままスパイディの目の表現に踏み込んでいたのは、スタークおじさんが参戦したスパイダーマンならではだな、と思いました。

とにかく見所満載の一作でした!