ナショナル・シアター・ライヴ 2015「スカイライト」の中庭のレビュー・感想・評価

あらゆるイデオロギーに言及する芸術表象の、なかなかに巧みな例を見たという印象。あれだけ罵り合ったビル・ナイとキャリー・マリガンが抱き合う瞬間の居心地の悪さといったらこの上なく、あの感覚を抱かせることこそが素晴らしい。思考を放棄し、あれだけの強度で喋り倒した元愛人同士の息の合い方の根底に、言葉を介さぬ肉体的な関係が通底しているという事実は、言論の力能を弱化させる想像的な魔力をも秘めている。それを幕間に喚起させる手腕はなかなかのものだと思ったが、演劇の潮流としてはよくある手法なのだろうか？