TAKU

死霊高校のTAKUのレビュー・感想・評価

死霊高校(2015年製作の映画)
4.0
『死霊館』と同じワーナーが配給してるからタイトルに「死霊」が付いてるとか、未だに『パラノーマルアクティビティ』みたいな幽霊モノPOV作るんだとかマイナス要素しかない状態での鑑賞だったが、監督すいません。スゲー面白かった。こういう時に“ナーメテーター”って使うんだよね。

内容をざっくり書くと、舞台はアメリカのとある高校。1993年に高校演劇『絞首台』を上演中に事故が起こり、一人の生徒が死んでしまう。20年後、再び『絞首台』が上演されることになり、本番前夜に学校へ忍び込んだ4人の生徒を怪奇現象が襲う。

POVホラーの撮影者は、オタクタイプな奴という印象が強いが、本作の撮影者が体育会系のイジメっ子という点はクレバーだった。実際、現実の世界では、イジメっ子やチャラ男が撮影してネットにアップするということの方が多いので説得力があった。そして、いやがらせを撮影しまくる序盤は秀逸。演劇部のオタクにアメフトボールを投げつけて、ケラケラ笑っている場面は、中学生の時のバスケ部や野球部のクソ共を思い出してしまいゾッとした。特に、イジめたオタクたちに復讐されてムキになって追いかける場面なんか厭だなぁ~の一言。

恐怖演出は非常に上手い。シチュエーション作りやタメは勿論のこと、画面の隅に人影のような気味悪いものが映っているだけで観客から恐怖を引き出そうとしていたのにはかなり感心した。予告編でも使われている、4人組の1人であるチアリーダーの女性が殺されるまでのシークエンスは、リズムやワンカット風の見せ方など全てが完璧だった。後半からスラッシャー映画のような展開になっていたのは面白かった。また、夜の学校という日本でも伝統的な恐怖空間の使い方もなかなか。

そして、何よりも唸ったのはクライマックス。物語と劇中劇である『絞首台』がシンクロするメタ構造な仕掛けにあっぱれ!。

しかし、改善すべき点もいくつかある。前述したように、映像だけでしっかり怖がらせる技量があるのに、所々でデカい効果音を使ってビックリさせていたのは頂けない。それは怖いんじゃなくて驚いてるだけだよ。アメリカ人はスラッシャー映画の大きい音で驚かせる演出を恐怖表現だと勘違いしているから困る。

また、素晴らしいクライマックスの後に、ある後日談を載っけてしまったのも勿体ない。ホラー映画らしい終わり方だし、捻りも効いていて悪くないのだが、あのエモーショナルな高まりの中で終わってくれたら、カルト級に愛さずにはいられない映画になったのに…。

しかし、非常に良くできたホラー映画なのは間違いなく、アメリカのホラー映画界に新たな才能が現れたのを確認するという意味でも必見。