竜平

タンジェリンの竜平のレビュー・感想・評価

タンジェリン(2015年製作の映画)
3.2
クリスマスイブのロサンゼルス、ドーナツショップで話すトランスジェンダーの娼婦二人の何気ない雑談が、あれよあれよという間に騒動へと発展する。

オカマって書こうとしたけど、トランスジェンダーというのはそっちとはまたニュアンスが違うんだね。今作は全編iPhoneとアナモルフィックレンズというのを使用して撮影されてるとのことで、個人的にはそれに興味を持っての鑑賞。テンポのいいストーリー展開と短い上映時間でスイスイ見れちゃう。巻き起こる内容としてはまぁなんてことないような痴話喧嘩、なんだけども、登場人物たちはとにかく必死だしいっぱいいっぱいだし、映画としてはその様が滑稽でありつつ、時にはなんだか切なかったりもする。セリフから読み取れるそれぞれの内情の他に、抱えてるものなどには少し想像力を働かせる必要があるかも。男女、いや男同士の関係の中にがっつりの売春の話なんかも絡んできて、ドロドロもドロドロ、てかもうカオス。愛や恋はいつ何時、どの場所でも人を狂わせるんだねーなんて。そんでせっかくのクリスマスイブなのに、やかましいし、救いがないし悲しいし。まぁ見終わった後に何か残るかと言われたらそうでもないというのが正直な感想だけども、とにかくエネルギッシュで、なんだか「見たなぁ!」ってな気分にはなるはず。

ショーン・ベイカー監督作品としては、今作からの『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で、その流れというか節も感じれるかも、というところ。彼の作品はとりあえずオチに説得力が足りないんだよなってのが今んとこの印象。終始イイ雰囲気ではあるんだけども。全編スマホ撮影という斬新さ、あと知らない世界見たさで鑑賞したら楽しめるかも。それかなんか心をかき乱されたい時に見たら、いい具合にモヤモヤできるんじゃないかなと。
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