出演者がトップコートだらけ。なにしろFilmarksのキャスト欄8名中、上から5人までがトップコート所属。何某かの仕組みがあるのだろうか、エンタメ業界。
ま、結果的には私の好きな俳優さん率高くなってるから、嬉しいけどね。
まずは主演・中村倫也。ごく普通の好青年、でも実は孤独を秘めてる…って、いかにも彼らしい安定の役どころ。それと温人の私服が私好みでニタニタしちゃう。
菅田将暉の役はもうちょっと深みがほしい。ただの単純で暴れん坊な駄々っ子になっちゃってて、とてつもなくもったいない。杏が演じる刑事も、もっと前の段階から温人か、せめて兄、無理なら清掃業者あたりにでも関わってくれてたら。
ってなぐあいに、全体的に登場人物のブツ切り感が強い。せっかくこれだけのキャストが揃ってるのに、みんな各々の持ち場内のみにとどまっちゃってる印象。
お話自体はけっこう好きです。原作ものじゃなく、オリジナル脚本なのかな。
母親を憎んでいた兄は「母さん」と呼ぶことができたけど、弟にはできなかった。恋しい、帰って来てほしい、落とし物が持ち主の元に戻るように。また抱きしめられたい、話を聞いてほしいと思えば思うほど、「あの人」としか口にできない悲しみ。
過去と現在が入り混じって、心象風景がそのまま具現化された幻想的な表現が多い。それもあって、予告編やポスター(?)での「ミステリー」よりも、「ファンタジー」の方がふさわしいよね。確かに20年間の謎、家族の謎が描かれてはいるけど、謎を解いていくというより、真相が明らかになるのを見守っていくというのが、心地良い鑑賞スタイルだと思う。
ラストも良い。もう自分で自分を抱きしめてあげられる。謝れる、話を聞いてほしい友もいる。だからもう大丈夫。捨てられ取り残されたのではなく、別々の道へ歩き出したのだ。ただそれだけだ。
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