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ザ・サークルのoldmanSEヨKのレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
4.4
【ネタバレなし】この作品を観た後、さもしたり顔でレビューを書くことの、なんとも胸のチクチクすることか(苦笑)…そんな映画でした。

今現在、非常にタイムリーな良作と感じるものの、もしかしたら数年後には実用的な利便性もある常識に近いものになっていたり、或いは全く論外な問題になってたり…ということもあり得るのかな?という、意外とリアルな危機感の部分での鮮度は短いのかも…ちょっとそんな気もします。

いつの間にか自分を縛る部分も感じられるようになってしまっているSNS。
数年前Facebookを辞めた時のことを思い出しました。
(退会するリンクが故意に分かりにくしてあったり、手続きが面倒くさかったり、一定期間内に再ログインすると復活してしまうとか…非常に意地の悪い仕様だったなぁ…)
自分にとって、本名で現実とネットがリンクしてしまうことの居心地の悪さに耐えられませんでした。

今作は大きな問題としてのSNSの描き方と同時に、元々その背後にある個人と会社や組織での繋がり方の、関係性のズレや矛盾などにも触れていたのが面白かったしちょっと深かったです。

少なくともこの作品を作った人達は、あんな感じのプレゼンやサークルの延長上のような社風とかに、どことなく胡散臭さを”ちゃんと”感じてたりしてたんだという(笑)。

正直なところ、もう少し掘り下げても面白いかなぁ〜という感じもありましたが、映画の枠としてまとめるには丁度良いい切り上げ方かな〜と。
でもやっぱ、もう少し突っ込んだラストも面白かったのかな?という思いも継続中…。

そういう意味ではセンスがあった分、喉越しがよくなり過ぎてしまったのかな?とも感じました。

今作に限っては、画面に表示されるSNSの言葉が英語でなく日本語に訳されてた方が、もしかしたらより楽しめたのかも…。
むしろソフト化されたとしたら、そんなver.もアリなんじゃないでしょうか。

途中である事件が起こりますが、いやいやいやいや!メイ(エマ・ワトソン)もっともっと悩め!!

メイを引き入れたアニーの葛藤も「お前の感情ってもっと歪んで複雑だっただろ!」とか、彼女の顛末もちょっと甘い?と思ってしまいました。

実際楽しみ半分と、実は誰にも期待されてない義務感のSNS(ココ含む)の存在と、それに伴うスマホやガジェットの日常での管理問題(バッテリーとか持ち歩き&置き忘れなど)とかに浪費しているエネルギーなど、少し前に観たアダム・ドライバー主演の『パターソン』と共に、自分にとって反省材料となりました(笑)

あぁ…全てぶん投げたらどんなに楽なんだろう…でも出来ない…
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