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ザ・サークルのumeshioのレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
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2017/11/16

ううーん、なるほど。
勝手にもっと派手な、ナーヴ みたいな映画かな?と思っていたんだけど、結構地味というか、派手さに欠けるからこそリアリティはあるのかもなあと思った。
まず主人公が抱える家族問題、結構もう重い。
そして主人公の抱える孤独さとかやり切れなさとか、たぶんたくさん持ってるし感じているんだろうけど、観ていて想像するけどしにくいというか、主人公のことがよくわからない。なんとなくつかみ所のないようなキャラクターだと感じた。
始まりから、主人公の生活がどんどんサークルにずぶずぶになってくまではまだリズム感が多少はあるからいいのだけど、終わりの方にかけて失速した感じ。いや、失速というか、これからなにか巻き返しが成されるんだろうなと感じるところで終わるというか。だからこそリアリティがあるのだし問題提起になっているのかもしれないけれど、主人公のあの感じ、結局なにを良しと思っているのかがよくわからなかった。
今のサークルは間違っているから正しい方向へ導きたい、ツールや技術は良いものなんだから、という結論だろうとは思うんだけど、いや確かにそうかもしれないけれどこのツールはどうやっても悪用というか、隙があるというか、プライバシー云々モラル的に云々、色々抱えすぎていると思うんだけどなあ。

終始観ていて怖〜〜!!!!って感じだった。秘密は嘘じゃないし。シェアがすべてじゃないし。まるで熱心なカルト教団を観ているかのよう。そこはリアリティに欠けた。まずあの団体の中にいて、おおよそ一人二人しか疑問に思っていない時点で怖すぎるし自然じゃないよなあと思った。
むしろ主人公がもっとずぶずぶになっていって、命を救われたことによってなにも疑問に持たず、洗脳されてしまう物語の方が面白かったのでは…と思ってしまった。

あの会社のあの感じ、わたしにはきっと無理だなあ。息が詰まりそう。みんなで高め合おう!悩みも楽しみも全てシェアしよう!助け合おう!みたいなあの空気が本当に怖い。おそろしい…というか普通に24時間リアルタイム晒すって頭おかしいし怖すぎ。これはおかしいのでは…?って思えないあたりあの会社の人たちはもう毒されてるんだろうなあ。

主人公がカヤックにのって、命を懸けて見たあの景色はみんながみんなシェアできなくて良いと思うし、その場に行って、自分の目で、体で体験すること、ひとりでひとりと向き合うこと、この目の前の景色や時間が今自分だけのものであること、そういうのって、必要だと思うんだけどなあ。

まぁ確かに身体的に不可能な人たちや、状況や金銭的に不可能な人たちにとって必要なツールだしあって尊いものだとは思うんだけども。映画だって、写真だって、本だって、そこへ行けないけれど疑似体験できるとても素敵なツールなわけだし。
でもやっぱり自ら体験すること、その一瞬を自分だけのものにすることって素晴らしいことだと思うんだよなあ。

わたしは逐一自分がしたことを報告したりシェアしたり、いいね!貰うためだったりインスタバエだったり、いまのこのSNSにあふれた生活にさえもビクビクしているから、もうなんかアーミッシュでいいよわたしは…って観ていて思った。笑

なんでも適度がいいよね。
わたしにとってある意味ホラーみたいな作品だった。

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