あとくされ

ザ・サークルのあとくされのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・サークル(2017年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

注目すべきはトム・ハンクスの役のリアリティの概念の捉え方。彼は息子が健常者ではないらしいのだが、彼にとってのリアルはその息子の世界経験の仕方をベースにしたもののようなのだ。
息子がチョモランマの登頂からの風景を映像として眺めたなら、それを息子はリアルな体験として了解しているようで、そんなリアリティの観念でもって構築されるオープンな世界というものは、どうもリアリティを欠いたものとなってしまっている。
これはまさに動画共有サイトの発想である。動画共有サイトの利用者的な経験ベースによった裏打ちされている透明な世界は、実体験性がない。現実性を認めてやるにしても実際性がない。


健常者と非健常者の対比を持ってこないにしても、世界からは私秘性ばかりか個別性をも剥奪されてしまうようで、やはりディストピアにしか思えない。
あとくされ

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