風の旅人

ザ・サークルの風の旅人のレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
3.5
水道会社で派遣社員として働いているメイ(エマ・ワトソン)は、自分の居場所を見つけられないでいた。
父親は多発性硬化症(MS)を患い、母親はその看病をしている。
エンストした車を修理してくれた幼馴染のマーサー(エラー・コルトレーン)は、親切ではあるけれど恋の対象ではない。
うだつが上がらない毎日に辟易し、暇を見つけてはカヤックで海に繰り出し、憂さ晴らしをしていた。
そんなとき、親友のアニー(カレン・ギラン)から吉報の電話が入る。
それは世界最大のSNS企業サークルの面接の話だった。
二つ返事で快諾したメイは、とんちのような面接をクリアし、晴れてサークルに入社する。

巷では頗る評判の悪い本作。
あまりの評判の悪さに逆に興味を惹かれ、観てみた。
結論から言えば、面白かった。
確かに多くの識者が指摘しているように、この作品は現状を素描しただけで、何も新しいビジョン(「一歩先」)を示せていない。
しかしベイリー(トム・ハンクス)を教祖とするサークルというカルト教団の話と考えれば、楽しめる。
プライバシーを曝け出し(「透明化」)、一つになることを良しとする思想、メイの「みんな友達よ」という言葉に薄ら寒いものを感じた。

余談だが、私にはサークルの企業ロゴが視力検査のランドルト環に見えた。
そして「いいね」を押す感覚で、思わず「右」と答えていた。
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