鷺宮テラス

ザ・サークルの鷺宮テラスのレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
3.6
There are no more secrets.
Privacy was a temporary “thing”.

これも人類補完計画かもしれない。
未来の話ではあるけれど既に身近に起こっているんだという本能が不快感を体感させられてしまうのです。

いまでも、
通話履歴、テキストメールはキャリアが所有し、ラインの会話、写真はシーリングされているとはいえ全てサーバに保存され、Googleの高精度GPSによって我々がビルの何階にいるか捉え、iPhoneはどのページをスクリーンショットしたかまでも記録し、携帯の留まる時間で自宅や職場を把握され、マイナンバーは預金と紐づけられる。
ETCとNシステムで車での移動は筒抜けになり、株は電子化され....etc

プライバシーとは、秘密とは。

これらの情報を集積しアルゴリズムが分析する。

コンビニのATMでちょくちょくお金を降ろす人は預金額が少ない、などはコンビニにATMが設置されてから分析された結果で、

収入の少ない方に審査不要のクレジットカードを渡せば月の出費額が増え市場が潤い、

確定拠出年金は年金の半分を証券会社に運用させ、国内株を買い支えることで日経平均株価を維持させる。

ネットに繋がる全ての"thing"に対してのメッセージ。冒頭の2行を語るエマ・ワトソンに恐怖を覚えるのです。名言だわ。それでも我々は利便性のある"thing"をもはや手放せないわけで救いのない結論に何も言えなくなってしまう。

なんとな〜く日常生活で感じている違和感(マトリクスのネオが感じる違和感に似てきたと思う)に加え、作中に出てくる企業の社員の行動の気色悪さ、ストーリーの単調な進展、これらが重なって不快感を増幅させていると感じました。

ラストシーンの美しさと反比例してゲンナリする作品だった。

決して面白くはないのだけど、してやられた感じがしなくもない。言い換えればめちゃくちゃ面白い?いや、忖度しまくって削ぎ落とされた残骸のようで.....

「気持ち悪い。」
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