さえないクレーム処理係の主人公メイ(エマ・ワトソン)が「サークル」と呼ばれる、世界でいちばんイケてるIT企業に転職して、人生が一変する...という話。
サークルはSNSアプリを展開する企業で、ビジネス的にはFacebookに似ているが、全体としてはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)をモデルとしている。
プレゼン慣れしたカリスマCEO。仕事から遊びまであらゆるアクティビティ施設が整ったキャンパスと呼ばれる広大な敷地。ハッピーに仕事をする意識高い系の若者たち。
映画の前半では、このサークル社内が、いかに先進的で素晴らしい場所であるかが語られる。
ここで描かれるリアルなGAFA的カルチャー描写が、この作品の白眉だと思う。社内の雰囲気とか、使われている用語とか、ひいてはビジネスの収益構造(膨大なユーザーのプロファイルを集めてビッグデータとして販売する)まで、これはいま現在GAFAでおこなわれていることと大差ない。
で、映画的には、あまりにも完璧なサークルという企業のビジョンが、完璧でありすぎるがゆえに(新興宗教じみて)ちょっとコワい、みたいな感情をひきおこすようなサスペンス展開になってくる。
Filmarksでの評価があまり高くないのは、後半のストーリー展開が説明不足なゆえかと思う。たしかにハッピーエンドなのかバッドエンドなのかよく分からない。僕は、エマ・ワトソンがトム・ハンクスに取って代わったバッドエンドなのではないかと感じた。