しゃぐな

ザ・サークルのしゃぐなのレビュー・感想・評価

ザ・サークル(2017年製作の映画)
3.0
SNSという進化し続けるソーシャルツールが「権利」「義務」と言い換えられた人の欲望を満たしていく様は程度の差があるとは言え正に今起きている恐怖。
ツイッターやVIPで所謂特定されていくさまを目の当たりにすることがある。凄いなと怖いなの狭間にいるけれど、根底にあるのは司法の不平等感や組織や報道の隠蔽体質によるものと感じるが、暴走すれば映画のようになりかねない紙一重のもの。

ーネタバレー
この映画では「社会」という集団の圧力と「個人」の承認欲求あるいは自己顕示欲が遂には人を殺してしまう哀しくて本当に恐ろしい事態に発展してしまった。
「力を発揮出来ていない」と感じる若い人たちにとって、大人から認められて一段高いステージを用意されて衆目を集めることはどれほど強大な魅力をもっているのか、況してやこの映画では世界に冠たる企業の代表が新人の自分の名前を呼んでくれるわけだ。
SNSなんてしませ〜〜ん、休日は実家に帰ってひとりでカヤック乗ってます〜〜というヒロイン・メイもその罠に嵌り大人たちの暗く汚い「陰謀」の手先となって大切な家族を傷付け友人を失った。登場するSNSツールTrueyouの開発者タイラフィートは自身が開発したそれが思わぬ使われ方をされていくのを横目に、さながらノーベルのようだった。

展開としてはラストでは会社幹部の闇を「シェア」するだけでなく暴きたててその危険を知らせるものであれば溜飲も下がったと思うのだが、この映画のテーマとは違ったのだろう。

この映画みたいに、「貴重な体験はシェアすべき」というのは本当に怖い。体験をした人が「この体験は素晴らしかった(個人の見解)!ぜひ人に話したい!良かったら君もやってみて!」というのとは根本的に違う。
「お前の体験は良さそうだ!ワタシにもさせろ!ワタシ以外の望む全ての人にもさせるべきだ!お前と社会がその労を負え!」って暴力でしかない。これって凄く共産主義社会主義全体主義的。民主主義と対極にあることだよって、全ての人に気が付いて欲しいです
しゃぐな

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