このレビューはネタバレを含みます
美しいジャケ画と「水の記憶」をテーマにしたチリと海と宇宙の壮大な物語…と思ったら、インディオと独裁政権下で迫害された人々の「奪われた声」を聞かせてくれた超辛口ドキュメンタリーだった。
アマプラで見なければ知らなかった悲しい歴史。
ペルーやアルゼンチンのような大国に囲まれ、特に印象の無かったチリ。
何世紀もの間、街を作ることも神も警察もないインディオがカヌーに乗り、海と静かに暮らしていた。
スペイン人がやってくると、インディオ狩りが始まり、睾丸1つにつきいくら、乳房1つにつきいくらと報奨が払われ、ばい菌が着いた古着を着せられたインディオは命も言語も奪われた。
20世紀になると独裁政権下の下、反対する者は収容所で拷問を受け、亡くなった人は浮かばないようにレールを付けて、海に放棄された。その数、千数百人。
最近になって海から回収されたレールには、遺体は溶けて無くなっていたが、フジツボと共に被害者が着ていたシャツのボタンが残っていた。
水に記憶があってその声が聞けるなら、奪われた者たちの声が聞こえるでしょう…って、きれいにまとめたけど…人間って恐ろしい。