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真珠のボタンのsaboのレビュー・感想・評価

真珠のボタン(2015年製作の映画)
4.5
鑑賞日2020/05/07

チリの海岸線を型創る西パタゴニア群島。かつてこの地にカヌーで島から島へと流離う先住民がいた。特定の土地に住まず、海の恵みを受けながら水と共に生きる『水の民』。やがて入植者たちがやって来て、凄惨な先住民狩りが行われる。現在その子孫は20人程しか残っていない。
かつて水の民の中にジェミー・ボタンと呼ばれた少年がいた。
イギリスの商人に真珠のボタンと引き換えに買い上げられたその少年は、ロンドンへと連れていかれ文明社会で過ごし成長して紳士になる。
やがて故郷へと戻って来たジェミーボタンだが、風習も伝統も失った彼にはもはや属する世界はどこにも無かった…
そして時代はピノチェト政権時代となる…
グスマン監督によるドキュメンタリー二部作の第二部。

**感想(ネタバレ含む)**
今回は『水』に纏わるお話でした。
水は太古から存在しており、生命の期限でもあり、水は全ての記憶を持っている。
開拓時代や他国からの入植というとやはり先住民に対する迫害はどうしたってワンセットなのでしょうが…
なんでそんな残酷なことするの?としか言えないような内容でした。
先進国どころかやってることは野蛮そのものなんですけど(;´д`)
目を覆いたくなるような野蛮な先住民狩りや虐殺の手順の再現シーンなどは見ていて、聞いていて辛かった。。
とまれこの作品全編を通じて絶えず流れる流水の音や雨の音、氷山の軋る力強い音、波の煌めき…これらの耳心地の良さや映像の美しさは『光のノスタルジア』に負けず劣らぬ秀逸さでした。
全ての人達が幸せに暮らせる世界があれば良いのに(;Д;)
そう願わずにはいられない作品でした。

テ ー マ :4.5
ビジュアル:4.5
音 楽:4.5
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