グスマン凄い！
ドキュメンタリーとか映画などの根源的な重要性をガツンと教えてくれる傑作。
事件や歴史的な出来事を知るためだけならば本を読めば良いところをなぜ映画にするのか、実際に生きてきた人たちの生の表情や声を捉える価値だけでなく、構成と演出で作家の意図を語ることで受け取るこちらに〈知ることの意味〉を増幅して与えてくれる。
画面に映る対象を目で見て認識し、美しく酔える魅力があったり興味深いものであっても、ただ見るだけではそれだけで終わってしまう、そこに意味を生じさせるグスマンの技が凄い。
ナレーションと構成、演出によって遠く離れた過去の話をただ「過去の話だ」とせずに今生きている他国の人間が身に迫る問題として理解できるよう丁寧に一つずつ、まるで見方が変わるっていくように、新たな価値観を説いてくれる。
彼らの見ている物を、全く違う人生を生きてきた人たちに共有させてしまう映画の力。
見方を変えれば一見無関係に見えるもの同士に共通点が生まれ、新たな世界が見えてくる、そんな景色が人々を救うのではないかと、時を経てなお戦い続けるグスマンの姿勢と手腕に心の底から感動した。
遠い過去は過ぎたものではなく繰り返されてるものであり、他人事ではないという現実。
