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光のノスタルジアのsaboのレビュー・感想・評価

光のノスタルジア(2010年製作の映画)
4.3
鑑賞日2020/05/07

南米チリのアタカマ砂漠へ『過去』を求めてやって来た人々。
天文学者のガスパール・ガラスは天体を通じて『人間はどこからきたのか』を探し続ける。
一方、天文台の足元に広がる荒涼とした砂漠で遺骨を集め続ける女性達がいた。
1973年9月11日、 アメリカ軍の後ろ楯の元ピノチェト将軍により引き起こされた軍事クーデター。これにより多くの人が強制収容所に収監され虐殺された。
遺族の女性達は犠牲になった身内の遺骨を30年近くも探し続けていた。
人が生きるということとは、また人はどこへ向かって行くのか…決して答えにたどり着けない謎。
それでも探し続ける人々の姿を描いたドキュメンタリー映画二部作の第一部。

**感想(ネタバレ含む)**
美しく穏やかな映像で綴られていて、まるで写真集を眺めているような作品でした。それでいて、そんな美しさや穏やかさとは裏腹な恐ろしい黒歴史が…
しかも1973年なんて、自分の生まれた年からそう遠くない時期に起こったのだと考えると、いかに自分が恵まれた時代、国に、平和の中に生まれたのかと痛感させられました。

全ては過去であり、今この瞬間さえ次々と過去になっていく。『現在』とはその人の意識の中だけに存在する幻のようなもの…
とても哲学的で印象に残る言葉でした。
次は第二部です☆

テ ー マ :4.5
ビジュアル:4.5
音 楽:4.0
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