青二歳

電子頭脳おばあさんの青二歳のレビュー・感想・評価

電子頭脳おばあさん(1962年製作の映画)
4.6
トルンカのSFパペットアニメーション。SF興味ないと思っていた高校時代に“キン・ザ・ザ”で衝撃を食らってSFに魅了された自分にとっては、このハイテクそうだけど実はアナログで動くローテクなんじゃないかというメカの質感がたまりません。
あらすじは…あってないようなものなんですが…電子頭脳おばあさんの造形と動きが面白すぎて…
ただよく言われるように東西冷戦の最中、世界が滅亡するのか疎開するイメージなのでしょう。しかし個人的にはそうした最終戦争前夜というような印象はありません。むしろ、のちのプラハの春とチェコ事件につながるような…管理され抑圧される社会の到来を予感させる作品ではと考えました。
電子頭脳おばあさんはあくまで善意で孫娘に運動させたり身だしなみを整えてあげようとしているのだけど、少女が嫌がったり怯えていることは一切感知できない。ただプログラムに従い、「かくあるべし」と孫娘を小突き回すだけ。色々とひどいことをしてくれますが、あくまで善意で、決して攻撃的に少女を支配しようとはしない。この辺りがプラハの春以降の未来を彷彿とさせます…善意の仮面で抑圧する支配者あるいは体制のイメージです。
ラストでリアルのおばあさんがコツンと電子頭脳のスイッチをオフにしてくれることで、この愛らしい少女は悪夢からようやく抜け出せる。この辺の軽やかな終わり方は“バネ男とSS”を思い起こさせます。本当につらいことを温かみのあるユーモアで表そうとしているんじゃないでしょうか。
青二歳

青二歳