このレビューはネタバレを含みます
主役にティム・ロスを迎え、オープニングから無音、静かに静かに…
自然でしかもリアルな人の終焉を描く今作、監督の年齢を見て驚きました。
脚本はご自身の体験談からとの事。
なるほどなぁ〜と、唸るしかなかった。
私としてはついつい着目する点がシビアになって、がっかりする医療がテーマの作品ですが、今回はティムの役作りに感服してしまった。
終末期を迎えた患者と看護師、
絶対的な信頼を受け、全身全霊で患者と向き合う、そんな関係がある。
終末期になると、医師よりも看護師が関わる割合は絶大だ。
だからこそ、親密になりうる事も多々あり、今作の様に患者の家族からセクハラで訴えられる医療従事者も少なからずいるのでしょう。
特に今作の様に看護師が男性である場合はとても難しい、
たった数日、数ヶ月、その患者と接するだけで、家族よりも信頼され家族にも言えない悩みや秘密も知る事となる、看護師。
家族側から見ると、そんな関係が羨ましくもなり、嫉妬する瞬間もあるのでしょう。
私自身も苦い経験がある。
一滴の水分すら口から摂取出来なくなった父。
様々な事を考慮しても延命治療には反対で、PEG造設に対する治療方針について兄弟家族と意見が対立した、
しかもナースステーション前の談話室でやってしまった😓
私とした事が、なんとも恥じる経験なのだが…
今作でも、癌末期、既に転移した患者に効果の期待出来ない治療を医師は勧め、患者が拒否する場面がある。
人間の尊厳とは何かを強く考えさせられる。
今月号のCOURRiER Japon では、安楽死を取り上げていた。
現在、世界9ヵ国(その中でもアメリカは州によっては認めていない州もある)が安楽死を認めている。
スイスでの安楽死はよくご存知だと思いますが、オランダは欧州の中でも早くから法律で安楽死法が可決しています。
そのオランダでは、現在さまざまな問題点が浮き彫りになり、医療従事者や、安楽死希望の家族の苦悩について掲載されていたのを読んだばかりだったので、タイミング良すぎてビックリしてしまった。
後悔のない死を迎えるには、日々を精一杯生きている事に意味があると私は常に感じていて、
病気でなくとも、明日何が起きるかわからない、と思いながら生きている私ですが、この作品のラストには度肝を抜かれ、本当に心臓が止まるかと思ったラストです😱
ラストシーンの前振りだったんだなぁ〜
彼のジョギングは🤭
元々は女性看護師の設定だったのをティムが逆オファーしたと言うだけあって役作りが完璧でした。