エクストリームマン

ヴィジットのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ヴィジット(2015年製作の映画)
4.7
非常に良かった。『エアベンダー』『アフターアース』ときて、三度目(本作から遡って、だが。ドラマ除く)の正直で当たりなシャマラン来たな、と。面白いくらい皆が「今さらのPOV」映画と呼んではいるものの、その手法がきちんとテーマ(自身と向き合うことと、赦し)に繋がっていて、最早普通にウェルメイドなジュブナイル&ホラー。

なによりもまず主役姉弟のキャスティングが素晴らしくて、この映画はもうそこだけでもう観る価値があると言ってしまっていいと思う。個人的にジュブナイルに弱い(好き)のもあるかも。彼等が醸しだす、本当の姉弟のような自然な空気感、実は互いが抱えている心の傷故に時折見せる表情とか、演技も含めて最高。特に、弟:Tダイヤモンドが最高だった。あの年頃らしい反応と、色々「気にしない」からこその鋭さ、クレバーな一面等々併せ持っている上に、あのラップ。ラップ!勿論、母親と祖父母のキャスティングもハマっててよかったな(母親役、最初パトリシア・アークウェットかと思った。似てる)。

天丼(「昔演技してました」)の小ネタとか、しっかり伏線回収&呼応してる鏡の隠喩とか、細部もよかった。弟が姉にインタビューする場面が好き。映画を撮ってる体の映画でメタな言及や構造も多々あるものの、それがただやっているだけになっていないところがいいね。子供から見た老人映画でもあって、自分はもう子供じゃないけど、未だに老人にはある種の恐怖みたいなものを抱いているので、何も起こっていない段階でももう映画の持つ嫌な感じにのめりこで観ることができた。

POVとしてどうかというと、確かに色々雑というか、そこまで徹底する気はないなといった感じ。とっさに撮ったにしては撮影上手すぎるし、画角キマりすぎだし、なにより編集上手すぎる(本作に限った話じゃないかもしれないけど)。風景も素人はあんな風には撮れないよなぁ。ま、姉はドキュメンタリの監督志望だからそれくらい……いやぁ。