benno

私、君、彼、彼女のbennoのレビュー・感想・評価

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)
4.7
シャンタル・アケルマンが監督、脚本、主演を務めた作品…楽しみにしていました…初鑑賞です。

監督本人が演じる主人公が恋人と別れた日から自分自身を観察し続けるセルフポートレート…。

大きく3つのパートに分かれていて、最初のパートでは、彼女の一人語りで進んでいきます。

“私(自分)” は部屋の色を変え(モノクロですが…)、家具を外へ…マットレスだけになり、それを窓際へ…そしてまた壁際へと移動します。どんどん殺風景になる部屋はまるで” 私"の心を整理するよう…

そしてその気持ちを手紙に書き留めます。特に送る相手がいるわけでもなく架空の “あなた"に問いかけるだけ…"私"は手紙を書きながらひたすら袋の中の砂糖をスプーンで貪ります …次に"私"のとった行動は服を脱ぎ全裸に…固定またはゆっくりとしたカメラワークで静の映像を映します。

この奇妙な行動に最初は戸惑いながらも…次は何をするのか…どんどん引き込まれるのです。

そして部屋を出た"私"はトラックをヒッチハイク…。ここからは第2のパートで"私"の目線からの"彼(運転手)"が被写体となります。そして延々と語られる"彼"の人生や家族についての独白…"私"はひたすら受動的で聞き続けるだけ…。

最後のパートでは"私"(バイセクシャル)が昔関係があったであろう"彼女"の家へ行き、そこでお腹いっぱい食事をした後…延々と一糸纏わずベッドの上で愛し合います。

ここでは被写体はふたり…真横から、真後ろからのカメラと…順にアングルを変え約5分に渡って絡み合うふたりを映します…。

しかしそれはうっとり、心を奪われるようなシーンとは程遠く…とてもプリミティブで動物的…。

これまでの単調な行為からの"私"の道程を緊張感を持って暴力的に見せつけます…。

他者を通して自分を見つめているような作品…前半では閉塞感がありましたが……なんと攻撃的で挑戦的な映像…。圧倒されます…。
benno

benno