冬のナマズ

シン・エヴァンゲリオン劇場版の冬のナマズのレビュー・感想・評価

4.5
アニメーション、そして実写映画を経由したからこそ到達した庵野監督の極地。そんな『シン・エヴァンゲリオン』は庵野作品の一つの区切りとして、監督自身の映画スタイルの転向を高らかに宣言している。
この点に関して紙幅を割こうとすれば下手にネタバレに触れてしまうかもしれないので、ここでは多言を弄しません
…が!とにかく、結末にかけての展開には監督ならではの映画に対する強い拘りと独自の姿勢があらわれており、今後の庵野作品の指針を示してくれている…はずです…

とはいえ、この結末部がこれまでのエヴァ作品ひいては映画作品のなかで、比較的印象に残りやすいものであったということには違いありません。
私たち観客が映画館を後にして実生活に戻るとき、つまりはアニメーション映画という「虚構」から目覚めて「現実」に帰るとき、私たちは劇中のキャラクターと完全に同化するという何ものにも代え難い不思議な映画体験を味わうことになるからです。まさにシンクロ率∞。
なるほど、コロナ禍にもかかわらず庵野監督が本作品の劇場公開に固執したワケが理解できる気がします。この終劇は、映画館で見てこその幕引きなんだと僕は思うのです。
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