クラゲ男爵

シン・エヴァンゲリオン劇場版のクラゲ男爵のレビュー・感想・評価

4.0
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2020)

自分の起こしてしまった罪に絶望するシンジ君と、人類補完計画を阻止するべく決死の攻撃をかけるヴィレ、そして人であることを捨て自らの理想とする世界に突き進む碇ゲンドウの物語。

シリーズで一番のヒットを飾った、完結編の最終作です。
新たな謎を振りまきながら、それでも何故か観た人がスッキリ終わってよかったと感じさせる絶妙なバランスの大団円でしたw。

私はこの新劇場版シリーズは一貫して『過去に作り出した【セカイ系】への贖罪』について描かれていると思っているのですが、この物語が『セカイ系』または『アニメ(虚構)の原罪』というものへの回答であるとするならば、『第三村』がその答えなのはちょっと違和感があるなーと思いました。

(なぜ『第三村』が答えだと感じたかというと、『アニメの外にもこんなに素晴らしいものがあるよ』というメッセージに見えたからです。細田守監督が『おおかみこどもの雨と雪』で、『アニメーションで生活を教える』ことに使命感を持ったのとおなじ文脈であり、宮崎監督も持つ日本独特の問題意識から発せられた問いに答えているように見えるんですね。
それは、『アニメーションを見る事が罪=アニメの原罪』という矛盾への回答です)

またシンジ君(あるいはこの物語)の出した答えが、庵野監督自身の結論ではなく、『アニメ好きなあなた』への回答だったのも残念でした。

もちろん映画自体は絵力や物語の訴求力が凄まじく、画面にくぎ付けになって楽しんだことを前提にしての話ではあるんですけどもw。


この作品を観て、一番思ったのは『宮崎勤の事件が業界へ及ぼした影響は、こんなにも大きかったんだな~』ということでした。
『アニメが好きであることの罪』は、海外ではあんまり観たことないです。
アニメへの愛を語る話は多いと思うんですけどね。

https://youtu.be/10ict3GCxGY
クラゲ男爵

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