ARAMAKISHAKE

家のARAMAKISHAKEのレビュー・感想・評価

(1997年製作の映画)
4.0
二年前にアップリンクで鑑賞後、最近DVDを購入。
その名の通り、舞台は「家」。
「家」には老若男女や動物。様々なものが集まり、埃かぶっている。そこを一人の青年がふらふらと、さまよう。

バルタスはこの脚本を書いた時、亡くなった祖父を思い出していたらしい。たしかに、家の主人が死んで、葬式のために集まってきた初めて会う顔の親戚たちのような人々の距離感。青年は、久々に「家」を訪れたかのように「家」で目の当たりにする事象を受け入れていく。

人々が集まっては出て行き、そしていつかは空になる「家」という入れ物。そんな空虚な箱の中に、バルタスは、子供の宝箱のように、いろんなイメージを詰め込んでいる、そんな映画だった。息を吸えば、その埃とカビの匂いまで肺に入ってくる。

台詞は相変わらずないけれど、アップになった影が射す人間の顔をじっと見て、蜂の羽音にハッとして、自分もこの「家」という箱の中に雑に投げ込まれた気になってしまう。そして、あの「家」で迷って、出てきたつもりが、身体の一部をどこかに置き忘れたような感覚。
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