MasaichiYaguchi

女が眠る時のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

女が眠る時(2016年製作の映画)
3.0
主演のビートたけしさん、西島秀俊さん、忽那汐里さん、新井浩文さんの舞台挨拶があった特別試写会で鑑賞。
登壇したビートたけしさんをはじめとして本作について「難解」という発言があったが、映画の後半から現実なのか、登場人物で作家の清水健二の夢なのか妄想なのか、その境界が曖昧になっていく。
登場人物たちのプロフィールや関係はストーリーの進行と共に朧げながら分かってくるが、詳細な説明は一切ない。
それどころか場面転換において脈絡がない時があるので、前のシーンと今のシーンの間に何が起こったのか分からない。
「行間を読む」という言葉があるが、本作の場合は欠落した展開を観客が想像力で埋めていかなければならない。
ただ作品からはっきり伝わって来るのは愛という名の“迷宮”だ。
本作は、タイトル「女が眠る時」が表すように、美しい女の寝姿に愛着を示す、異様な存在感の佐原と、その佐原のフェティシズムに巻き込まれて“歯車”を狂わしていく清水健二の姿を海辺のリゾートホテルを舞台に描いていく。
物語は、清水とその妻がホテルに滞在する7日間を中心に、エロスと悪夢に彩られて展開するが、佐原も清水も愛や人生の袋小路に迷い込んでもがいているように見える。
男を魅了する美しい女は、男が何歳であっても惑わせ、血迷わせずにはいられない。
男なら一度は経験する、又は経験したい“愛の迷宮”。
佐原や清水はその“迷宮”の先に何を見出したのか?
何か吹っ切れたようなラストが印象的だった。