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DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧のkouのレビュー・感想・評価

3.5
《底知れない魅力を紐解く淡々としたドキュメンタリー》

新しい世界を知った時、独特な世界観や今まで見たことのないビジュアルに驚くと同時に、その世界の広さがどれほどまで深いのかわからなくなり、怖いと同時にワクワクして、いつまでも頭の中で離れない物に出会うことがある。僕にとって電気グルーヴはそんな存在だった。初めて聞いた曲は「Shangri-La」で5年前くらい。その独特な音楽が違和感だらけで、でも頭から離れなかった。PVを見たり、ライブの映像を見たりしていても、いつまでもその奥底が見えてこない。とても不思議なビジュアルと音楽ばかりだったし、それはどれもバラバラだった。よくわからないけれどとても気になっていて、そんな中この映画を見ることができた。

電気グルーヴの結成から今まで、数多くの映像とインタビューから電気グルーヴの歴史と電気グルーヴとはどんな人たちなのかということをとてもフラットに描いている作品。本人たちのインタビューではなく、周りの人たちのインタビューのみで、淡々と歴史を紡いでいる。しかし、観ていて電気グルーヴの魅力は十分に伝わった。それは完全に流れる過去の映像が魅力にあふれているからだろう。電気グルーヴはデビュー時から最先端で革新的な音楽を鳴らし続けていて、唯一無二であり、その音楽を作っている二人の個性と独特のユーモアに魅力があるのだと思った。

印象に残っているのはロッキングオン編集長の山崎洋一郎のインタビューだ。「ロックが日本に根付くのに何年かかったか、ヒップホップが根付くのに何年かかったのか。テクノが数年で日本に受け入れられたのは電気の存在があったからだ」という発言はとても印象深い。今は広く知られるテクノの始まりには電気がいたのだと思う。

もう一つ、元メンバーである砂原良徳が「Shangri-La」が完成するまでを語るところがある。素晴らしい音楽が誕生するまでの過程を語るのだけれど、とても感動的だった。作っている側の予想さえも超えて、曲が出来上がっていく感覚が面白い。

劇中彼らの面白さを笑って観ていたはずなのに、ラストシーンで泣きそうになる。ある曲をフジロックで歌う映像が流れるのだ。石野卓球の体験から作られた初期のその曲は、電気グルーヴの中でもエモーショナルな曲だと思う。空虚感がありながらさわやかさもあり、フォークっぽくて 青春ソングでもある。今もなお最前線で音楽をやり続けている石野卓球がその歌を歌う。なぜだかわからないがとても感動的だった。

一つのバンドが無名からどのようにして駆け上がっていって、そして収束していったのか、そこからまた活動を開始して盛り上がっていく過程や現在まで、とてもドラマチックで面白い。何よりも石野卓球とピエール瀧という二人のキャラクターの面白さは底知れなかった。エンドロールまで仲良さそうな姿はこの二人をいつまでも見ていたいと思うような映画でした。