ゆっきー

スターティング・ポイントのゆっきーのレビュー・感想・評価

スターティング・ポイント(1993年製作の映画)
3.5
クレイマーが戦後20年のベトナムを再訪問し、そこに生きる人々(翻訳者、綱渡りの女性、事故で両足を失ったバレリーナなど)を映し出す、ポートレイト的映画。冒頭のクリス・マルケルの言葉通りの映画であった。面白い!

クレイマーって、インタビュー中にカメラが相手を画面外に置き去りして、部屋の中のホーチミンの写真だとか外のカットだとかを撮っちゃうんですよ。あと、目のアップだけを撮ったりだとか人の話を聞いてねェw っていう。

インタビュイーの話の内容ももちろん大事なんだけども、内容よりは、その場自体の空気感をカメラに収め、インタビュイーの人となりを演出しようとしているのね。ワンビンの『フォンミン』とは真逆の演出だなぁと。あれは、もうインタビュイーを只管直視する映画だった。

細部に言及すると、少年が車のタイヤをジョキジョキ加工して、サンダルにするシーンが好き。あと、大工たちがノミや鋸で仕事してるシーンで、手元のアップを撮るのは分かるんだけども、何もない汚れた素足のアップのカットをモンタージュするのが凄いセンスだなと思いつつ印象に残る。
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