次郎

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にの次郎のレビュー・感想・評価

4.0
前々から気になってたけど監督が『スクール・オブ・ロック』『ビフォア・サンライズ』の人と知って俄然観る気になった。時代は1980年の夏、野球推薦で大学入学した主人公の、授業が始まるまでの3日間の寮生活とパーティーライフという共感度0%のあらすじながら、圧倒的なユーモアと音楽愛と不意に出てくる良い言葉にすっかり心揺られてしまった。
オープニングのマイ・シャローナの掴みもいいけど、何よりグッとくるのが、シュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」が主題歌として挙げられてエンド・ロールで反復されていること。ディスコとカントリーとパンクのパーティーに次々と出かける節操のなさは、この時代に次々と新しい音楽が出てきた躍動感と結び付く。野球部の面々はどいつもこいつも負けず嫌いで面倒くさそうで嫌な感じだと思ったのに、最後まで見終えると不思議と憎めなく思ってしまう。

こんな青春なんって送ってないし、自分には決して手の届かない世界。だけども、その煌めきはこんなにも豊かで、ノスタルジアに留まらない輝きに溢れていた。傑作だよ。
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