Melko

ノーザン・ソウルのMelkoのレビュー・感想・評価

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
3.8
「トップテンなんか知るか、これが最強のアンダーグラウンドだ」
「昼間はまずいだろ、よぉテロリスト」

この時代に生まれたかった、でしかない。
危ない橋も山ほどあるし、みんな薬普通にバンバン飲んでるけど…

めちゃマイルドで今風の「さらば青春の光」といった感じ。

でもその行き着く先が、汗だくになりながら踊り狂うって、健康的でなんか憧れちゃう。
命を燃やして踊れ!というような。
70’sのサイケポップなファッションも好きなんだよなー。革ジャンにパンタロンってカッコよい!

1974年が舞台。この時19-20歳だったってことは、アラ古希の人たちの青春時代か。
この時代の時代性を反映したかのような、ダンサブルだけどどこか荒削りな音楽から、うちの親世代の80年代キラキラディスコに繋がってくんだなぁ。

学校では、冴えない・内気なジョンが、「ソウルミュージック」を通してカッコつけの悪ガキ マットと仲良くなるが…というストーリー。
全体的に展開や設定が薄めで、場面的にも精神的にもエグいシーンがないので、ふわ〜っと見ているうちに終わってしまった。だからカルト的な印象は残らないのだろうけど、その分、フロアでのダンスシーンへの熱の入れ方、かかる音楽が全部イカす、主人公ジョンと悪友マットの魅力と絆が光る。
とにかく音楽がいいのよ〜〜。自然に横ノリしてしまう。かっちょいい!
展開の盛り上がりとしては、正直中盤のウィガン・カジノのダンスシーン、その後各地のフロアで踊りまくるジョンとマット、が山場かな。この場面での、主人公・エキストラ全員の渾身のダンスは必見!型なんてなくて、それぞれ思い思いにステップ踏んで踊りながら、要所要所のタイミングで全員がパーンッ!って手を叩くところ、熱い。
この頃は無秩序だったのかな?開脚しながらしゃがんだり、飛び跳ね起き上がったり、アクロバティックにディスコで踊ってたって父親から聞いたことあるから、あー、こういう感じだったのかな?と思いながら見てた。
あと、広いフロアに所狭しと踊ってるのがいわゆるパリピな見た目の人だけじゃなくて、男も女もおデブも筋肉も、色んな人が踊ってて、それもいいなと思った。あのダンスシーン監修した人は涙流しただろうなぁ。自分達の青春なんだもの。
元々the nerdな見た目だったジョンが、このシーンでバキバキになった上半身を晒しながら踊り狂ってるのが恍惚としてて、一緒になって踊りながら抱き合うマットと、すんごい楽しそうだから多幸感溢れる。
クルクル回りながらも体幹がちゃんとしてるからかブレてないし、多分基礎のダンスができる人達なんだろうなぁ。

プッチンして高校ドロップアウトしながらも、地が良い子ちゃんなジョンと、素行と口の軽さが仇になって段々孤立していくマット。行動が全て幼稚だし、とにかく口が悪いから、展開的に悪いのはどう見てもマットだけど、ジョンの恋路を必死になって応援してるし、かわいい憎めない奴だから嫌いになれない。くっつけたい女子から、「ジョンは確かにかわいいけど、あんたと一緒にいるからなー」って言われちゃったらさ…
後悔した顔で横っ面を自分で殴るマットに、ホロっと来そうになった…

キリキリとした別離…かと思いきや。
ジョンの、悪口や想いを落書きでしか表現できない習性が最後に効いてくるのが良かったし、最後まで音楽が渋くて良かったなぁ。こういう音楽で踊れるところ、ないのかなぁ。
DJが曲名を隠してる曲のことを「カバーアップ」って言うのね。どうしてもタイトルを知りたかった曲に、たまたま出会えた時の喜びって、何にも変えられないんだろうなぁ。
とりあえず、サントラを聴くか。
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