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ククーシュカ ラップランドの妖精のvilljobbaのレビュー・感想・評価

3.4
第二次大戦におけるフィンランド・ラップランド戦線において、行き場を失ったフィンランド人男兵士とロシア人男兵士がサーミ人女性の家にお泊りするお話。
3人はそれぞれ母国語のフィンランド語、ロシア語、サーミ語で喋り、お互いが何を言っているかサッパリも分からない状態で3人の生活が始まる。

サーミ人というのは、北欧スカンディナビア半島の北部のクソ寒い場所に好き好んで住んでいるドM民族で、民族・言語的にはフィンランド人の遠い親戚にあたる。
トナカイを遊牧しながら湖で魚を獲って食べる、ゆる~い生活を送っている人々。

主人公的立ち位置のサーミ人女性アンニは、辺境で独り生活をする逞しさと、男に囲まれて嬉しがってる可愛さとを持ち合わせる素晴らしい女性です。こういう人と結婚したら良い人生が歩めそう。

ゆったりとしたテンポで淡々と描かれるのに、3人がお互いに会話の意味を勘違いしてるアンジャッシュのコントのようなシーンだらけで、シュールな笑いが訪れる。
ロシア映画ではあるが、ロシア人が一番不憫な扱いで面白い。
登場人物たちとは違い、我々は字幕で全部意味が分かってしまうが、本作の3言語(+ドイツ語)をすべて素で理解できる人ははたして地球上に何人いるのだろうか。

ラストが衝撃的だった。
何はともあれ、戦争ダメ、ゼッタイ。


北欧の辺境に興味のある方は是非。
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