KANA

ぼくの伯父さんのKANAのレビュー・感想・評価

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)
3.7
恥ずかしながらジャック・タチの作品初鑑賞。

1950年代製作とは思えない斬新アート!
…といっても決して気取ってるんじゃなくて、ハズシ系でほのぼのした感じ。

ユロさんの天然ぶりに終始クスッと笑いながら癒された〜。
そして近未来的な家はパッと見スタイリッシュなんだけど、暮らしぶりを見てるとシュール過ぎてこっちは苦笑。
見栄を張りたい客が来る時だけ奇妙な噴水をこまめにonにするとか、
庭では踏み石の上だけをキチンと歩く滑稽さ…
子供にとったらこんな窮屈たまったもんじゃない。
間違いなく現代合理主義への皮肉だろうけど。
夫婦もさることながらお隣の夫人、何考えてるかわかんないキャラで気持ち悪くてちょっと怖かった。
…そんな無機質感と対比して描かれる下町の風情とごちゃごちゃした人々のふれあい!
もう、見事にぬくもり感を持って際立ってたなぁ。
ユロさんの可愛いアパルトマン、お部屋まで無駄に長くていいねw

でもタチはビジネスライクで見栄っ張りな人々も決して見放しはしない。
そこが他に類を見ない気がする。
ギャグも皮肉も温もりも全く押し付けてはなく、感傷に浸る間も無く、ロボットみたいなコミカルな動きと軽妙な音楽で流れるような演出がまた小粋でフランスらしいエスプリ。
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