安堵霊タラコフスキー

ぼくの伯父さんの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)
4.8
標識をクレジットに仕立てたオープニングから名作とわかる、ジャック・タチのアカデミー賞受賞作品

フランスのモダンな生活を皮肉ったジャック・タチらしいサイレントコメディ風味の映画で、便利な機能に振り回される人間は勿論として野良犬の明暗や少し距離を隔てただけで顕在化する格差等視覚的な風刺が細かいところでも効いている一方、それが犬や子供を主体として描いているために愛嬌を感じる描写になっているのが良い意味で心憎い

それでいて構造美溢れる建築や美術を遺憾なく有効活用した演出と撮影も見事としか言い様がなく、毎度のことながら何時間でも見ていられるくらい卓越した画面作りが行われているのだけど、これを初見時に物語性が薄いからと怠く思ってしまった昔の自分に平手打ちを食らわせたい気分