RIO

ホース・マネーのRIOのレビュー・感想・評価

ホース・マネー(2014年製作の映画)
4.0
サイレント 
数々のモノクロ写真
厳しい表情に強い閉塞感

「告白しろ」

うつらうつらしながら記憶を紙に書く
過去と現在が入り交じる
廃墟となった地下の迷路のような廊下

「機械で切り刻まれる ナイフで殺されない限り」
ナイフで過去と自分を切り離す
それを奪われる 搾取された右手

優しく手と手が重なりあう
アイデンティティに満ちた言葉 
長く沈黙してきた言葉
カーネーション革命

引き裂かれた大切にしてきたもの
既に恍惚の人となっている男の記憶

自分の記録を呟くヴィタリナの涙が頬をつたう
ヴィタリナはアフリカンソウルでない?

静かすぎる程の囁き声で
動かすことのできない記憶や出来事を繰り返す
過去と正面から向かっていくことを
語らずして語られているみたいだ

感性で観る 魂で観る
ポルトガル アフリカ系移民の苦悩

ヴェントゥーラが光を遮る手について
「自分は進歩というものに反対である
それは進歩が上手くいかないからではなく
上手くいきすぎてしまうからだ」
というジャン・ルノワールの言葉をペドロ・コスタ監督は
それは光が一種の暴力でもあると関連づけてました

それと監督は重要なテーマとしての「忘却」を撮ろうとしていた

自分の存在すらある状況に置かれていると
忘れてしまうことがある
だからこそ詩人でなくては
物語を語る存在でなくては
存在と生を尊重することができない

ヴェントゥーラが忘れてしまうことで
一度奪われたナイフを取り戻したんではないでしょうか
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