Jaya

ホース・マネーのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

ホース・マネー(2014年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

カーネーション革命の1974年で時の止まったヴェントゥーラが入院先で過去を語るお話。カットが比較的短めになったような。

ポルトガル人民の記憶の傍で生きてきた移民の記憶が語られます。錯綜性が高そうだけどもヴェントゥーラの記憶という筋を通すとすんなり入ってきました。革命の記憶自体共有できない人にも伝わる忘れられる側の空虚。

軍や兵士の記憶に連なり、溢れる死のイメージ。ティトやヴィタリナとのやりとりには諧謔もあり、シュルレアリスム的な寓話性に目が眩むよう。そしてそれを実現する強烈な陰影とバキバキの構図が途方も無い美しさでした。

エレベーター内での銅像化した兵士との会話が圧巻の美しさ。過去の遺物の象徴のような兵士とそれを通した声たちと語るヴェントゥーラ。一応の克服?ヴェントゥーラの細かい動きも素晴らしい。ここでも語られたナイフが、ラストに出てきたものでしょうか。

光の当たらない場所に強烈な明暗で光を当て、猛烈な映像美でそこにある人々の輪郭を彫り出すような傑作でした。
Jaya

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